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いあ、いあ、はすたあ! くふあやく、ぶるぐとむ、ぶぐとらぐるん、ぶるぐとむ!
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 僕はとある悪の秘密結社に所属していた。

組織の他の部隊がどの程度の規模かは知らないけど、
少なくとも僕の所属する実動部隊は10人足らずの構成で
僕はその中でもNo.6というコードネームで呼ばれていた。

まあ、悪の秘密結社といっても、
やってることは集団強盗、人攫い、爆破工作、と
そこらの犯罪組織と何ら変わりやしない。

そのくせ財政は火の車。
構成員は住所不定のアジト住まいがほとんどだったから、
たまに豪勢に鍋パーティーでもやろうものなら
僅かな肉を取り合う骨肉の争いで、そりゃもう大騒ぎだった。

とはいえ、それはそれで結構楽しくやってたんだよ、僕らなりにね。
あんなことが起こるまでは。

その日、同期のNo.7と一緒に本部の門をくぐると、
門の前で神妙な面持ちで空を見上げるNo.1とばったり出くわしたんだ。

No.1「どうやら、困ったことになったようだよ・・・」

No.1は、見た目は小柄なお婆ちゃん。
創立時から組織に居る最古参で、
腕自慢揃いの実働部隊にあって指揮官のような地位にいるわけだけど、
その実力は未知数っていうか、
ぶっちゃけ誰もこの人が戦ってるところを見たことない。

そんなミステリアスな僕らのリーダーの話によると、
どうやら同じ部隊内のNo.5が突然組織を裏切り、暴動を起こしているらしい。

彼は開発中の新素材であるカーボナイト製の糸を勝手に持ち出して、
既にNo.2&3とNo.4を倒し、単身で本部の中枢へと向かっているのだそうだ。

傍らには黒い糸でがんじがらめにされたNo.2と3が
無残な姿で横たわっていた。
とりあえず机の上のハサミで糸を切って助けてあげようとしたんだけど、
流石カーボナイト製だけあって、傷一つつけられやしない。

ちなみにNo.2と3はいつもコンビで活動している戦闘員だ。
No.3の方の正体は手がいくつもある不細工な木製の人形だけど、
動いたり喋ったり時にはちゃんと食事もしていた。
No.2の腹話術なのか自由意思を持って動いているのかは誰にも分からない。
まあ僕は後者のつもりで接してるけどね。だってその方が面白いし。

それにしても、特殊工作メインのこの二人(?)はともかく、
No.4までやられるなんて信じられない。

No.4は上背も横幅も普通の人間の倍以上ある巨体でありながら
びっくりするほど俊敏な動きをする、部隊内でも1、2を争う武闘派だ。
空中の相手に何度も蹴りを叩き込むカンフーの妙技は、
到底真似できるもんじゃない。

No.5の方はといえば、強面ではあるものの線の細い印象が強く
どちらかというと穏健派のイメージが強い。
また、実は密かに料理が趣味で、
たまの休日なんかにはみんなの前でその腕を披露してくれたりもする。

そんな彼が組織に不義理を働いた挙句仲間を手にかけるなんて、
なんだか僕まで裏切られたみたいな気分でガッカリだよ。

僕らがNo.2&3に絡みついた糸を解こうと奮闘していると、
そこへやってきたのがNo.8。
黒光りする皮のコートをはためかせながら歩く彼は、
諜報、工作、対人対兵器などあらゆる任務を万能にこなし、
その実力は文句なしのトップクラス。

ただ、一つだけ残念なのは・・・

No.8は粗方の事情を聞くと「ふん」と一息だけ発して、
そのまま奥へスタスタと歩いていってしまった。

あれでもう少し協調性っていうか、
愛想みたいなもんがあれば言うことなしなんだけどなあ。

とりあえず、このままNo.5を放っておくわけにもいかないということで、
ひとまずNo.5の捕縛が本日の僕らの任務となった。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆

ところ変わって、場所は本部中枢にほど近い演習場。
僕とNo.7は、そこでNo.5を迎え撃つべく待ち伏せをしていた。

上からのお達しでは、標的の生死は問わないんだそうだ。
とはいえ、やっぱりかつての仲間を始末するのは気が進まない。
少し離れた所に立っているNo.7も同じ気持ちなんだろうか。

No.7「気をつけろ、来るぞ」

その声で我にかえって入り口の方を見やると、そこにNo.5の姿があった。
彼は身体の至るところから血を流していて、少し足を引きずってもいた。

やはり、あのNo.4を相手にして無傷で済むわけはなかったのだ。
まあ、本部には当然僕ら以外にも警備の人間が大勢いるわけだから、
どの傷をどこで負ったのかなんて知る由もないのだけれど。

これなら楽勝かな、そんな考えが頭を過ぎった次の瞬間、
相棒のNo.7の全身に無数の黒い糸が絡みついた。

まずい!

僕は慌てて両手から腕の長さと同じくらいの刃渡りの剣を出して、
目の前のNo.7を捕えている敵へと一直線に駆け出した。

アストラルウェポン。
精神エネルギーを実体化させて刃物や飛び道具を生み出す力。
これが組織の実働部隊の一員たる僕の能力だ。

でもまあ、その時点でもうなんとなく分かってたんだよね。
こりゃ僕らが束になったところで止められそうもないって。

だからもう、瞬く間に手足を黒い糸に絡め取られて
身動きが取れなくなったその瞬間も、
ああ、やっぱりそうだよなーって、特に驚いたりはしなかったんだ。

No.5はぐるぐる巻きの僕らにトドメをさすこともなく、
よろめきながら奥へと歩いていく。

まあ、僕らがやられたからには次に動くのはNo.8だろう。
いくら今のNo.5が強くたって、あいつを敵に回せば必ず殺される。

僕「ていうか、おなかすいたー」

No.7「あいつに作ってもらえばいいだろ」

僕「No.5ー、なんか作ってよ」

とか言って、この状況で作ってくれるわけないよね。

すると、No.5は無言のままおもむろにカセットコンロを取り出し、
鍋の支度を始めたのだ。

あ、作ってくれるんだ・・・。

だだっ広い演習場の真ん中で、
僕らは三人で鍋を囲むことにした。
なにこのシュールな光景。こんなことしてていいのかな。

で、No.5が組織を裏切った理由はというと、
何でも僕らが先日の任務で誘拐した対象が、
死んだ親友の妹だったかららしい。

しかも、その子は未だに本部内の実験施設に幽閉されたままで
彼はそれをたった一人で助けようとしているとか。

あー、こりゃキツイ。

今ならまだ間に合うよ考え直せーって言ったところで無駄だろうし、
そもそも今更後へ引けるような問題でもないよなあ。

僕なんてもう何にも捨てるもんないから
そういうのいまいちよくわかんないんだけどさ。

とりあえず、お腹も膨れたところで・・・
行くってんなら止めないけどね。
僕だってもう痛いのやだし。

No.7「この先にはNo.8がいる。もう俺達の出る幕はねーよ」

そりゃそーなんだけどね。

なんかこう・・・。

煮え切らないっていうか・・・。

モヤモヤするなあ・・・。

あー、やだやだ・・・。
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Comment
無題
ブラム・ストーカーは蟹を食べすぎた後悪夢を見て、それを元にドラキュラを書き上げたと言う。
 
きっと期限切れの炒飯がこんなにも仔細な夢を見せるのだろう...
NONAME 2010/06/07(Mon)10:57:00 編集
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