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 先日、少し人気のない場所まで遠出する用事があったので、
本当に久しぶりに屋外でマスクとサングラスを外してみた。
ああ、それとフードも。

まず最初に感じたのは匂い。
空気ってここまで強い匂いがするものだったかな・・・。
外気特有の乾いたクルミのようなちょっと香ばしいのをベースに、
アスファルトに染み付いたゴムの香り、
どこから流れてくるのかスギの樹皮の香りが少しだけ、
それから、石鹸のような甘い香りもする。

昨夜の献立が焼き魚だった家はすぐ分かってしまう。
いい塩梅に焦げた匂いがしばらくずっと染み付いているから。

一箇所だけ、むせ返るように濃いスープの匂いが漂う場所があった。
ラーメン屋か、大衆食堂か・・・
いずれにせよこんな時間にやってるなんて珍しい。
前を通ると、そこだけ空気が湿っていて暖かい・・・ていうか、ぬるい。

普段は、目深に被ったフードを無遠慮に剥ぎ取ろうとする
厄介で煩わしいものの一つでしかない風も、今日は機嫌が良いみたいだ。
緩やかに僕の髪を弄び、露になった首筋や頬を撫でてくれる。

それから、色。
街灯のせいもあるけれど、夜中だというのにやたらと明るくて、
薄暗い紫色に塗り潰されていた世界が、
こんなにも鮮やかだったことを知る。
いや、思い出しただけか。

音は・・・あんまり変わらないかも。
遠くを走る車の音とかは幽かに響いてくるけれど、
僕の好きな音を聴くにはもっと自然に近い場所に行かないと駄目みたいだ。

見たことのない町の、誰もいない小さな公園で、
僕は一人ブランコを濃いでみる。

昔から僕はこの単調な振り子運動が好きだった。
大抵近くに誰かが居るから学校ではあまりやらなかったけれど、
家に帰ってからは昼夜を問わず
庭でブランコを濃いでばかりいたかもしれない。

ああ・・・そういえば、うちの庭にはブランコがあったんだ。
公園で日暮れを過ぎても延々とブランコを漕ぎ続ける僕を
見かねて祖父が作ってくれたものだ。

木製だから公園のものほどしっかりした造りじゃないものの、
操縦席(祖父がそう呼んでいたのだ)が特別製で
長時間座っていても腰が痛くならない。

僕はもう帰ることはないだろうけれど、
あれはまだあの場所にあるだろうか。
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Comment
あの頃の小さな~
なんかサナトリウム文学のようだね...
NONAME 2010/10/02(Sat)15:11:30 編集
無題
ノスタルジィすなぁ・・
NONAME 2010/10/02(Sat)19:22:33 編集
無題
君も人間だったんだね!
NONAME 2010/10/03(Sun)00:55:43 編集
無題
たまに遠出すると筋肉痛になるけどな!
NONAME 2010/10/03(Sun)08:01:24 編集
無題
「いつか訪れたい場所」があるって、それだけでいいよね
NONAME 2010/10/03(Sun)14:02:26 編集
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